自治体から多数受注

〝軽くて低い〟アップソーラージャパンの陸屋根架台

太陽光発電設備の屋根上設置が増えるなか、アップソーラージャパンの陸屋根架台が好評だ。どのような製品なのか。

陸屋根に架台を置く際、屋根に穴をあけてアンカーボルトで架台を固定する手法が多く採られているが、工費が嵩むうえ、屋根の防水処理に影響が及ぶ恐れもある。この状況下、太陽光パネルを製造する中・アップソーラーの日本法人、アップソーラージャパン(東京都千代田区、李晟平社長)は、屋根に穴をあけずに自重で固定する置き架台を開発。レールの上にパネルを乗せて固定する単純な構造にして施工性を高めた。

同社の佐藤彰副社長は「案件によるが、屋根の耐荷重を考慮して、パネルを載せても㎡あたりの重量が35kg以内になるよう設計した」としたうえで、「当社では太陽光パネルやパワーコンディショナも含めて必要な設備をまとめて提供している」と語る。

この陸屋根架台を2020年10月に発売して以降、同社は着実に販売実績を伸ばしてきた。大手デパート運営会社の倉庫や、冷凍食品メーカーの物流倉庫などへ出荷したほか、自治体から多くの受注を獲得。すでに80を超える自治体の施設へ納品する予定が確定しており、このうち半分ほどに出荷したという。

同社の陸屋根架台が自治体で採用された理由の1つとして、佐藤副社長は「架台の低さ」を挙げる。風圧による影響を案じて施設屋根のパラペット(胸壁)より太陽光パネルの面を低くしたいという自治体の要望に対し、同社はパネルの傾斜角度を従来の5度から3度に変更してパネルの上面が20cm以下になるように改良したのだ。

陸屋根架台。㎡あたりの重量が35kg以内と軽く、胸壁より低いため風の影響を受けにくい

もっとも、同社が今回、陸屋根架台を開発した背景には、自家消費用太陽光発電設備の需要が拡大するなか、パネルを設置しやすい金属屋根向け提案の競争激化と陸屋根向け提案を強めたいEPC(設計・調達・建設)企業の存在が大きい。同社はかねてより日本の顧客の要望をもとに新製品の企画・設計を行っており、それが同社の強みなのだ。