蓄電池制御確立へ

RE100電力の再エネアグリゲーション

RE100電力が蓄電設備の制御技術の開発を強めている。蓄電設備を併設した太陽光発電所を運用し、〝調整力〟を市場へ販売する。2023年度内に事業モデルを確立したい考えだ。

電力小売りのRE100電力(香川県高松市、黒淵誠二社長)は2023年6月、EPC(設計・調達・建設)を手掛けるグループ会社の日本エネルギー総合システムらと経済産業省の『再エネアグリゲーション実証事業』に採択された。蓄電設備を併設した太陽光発電所を複数開発し、23年度内に蓄電設備の制御技術を確立して需給調整市場の取引に参入する計画だ。

需給調整市場とは、系統を運用する送配電会社が電力需給の調整に必要な電力を一般の事業者から調達する取引所である。送配電会社の指令に応じて電力を系統に供給する能力、すなわち調整力を売買する市場で、蓄電設備を運用する事業者も参加できる。ただ、事業者は、たとえば、『三次調整力②』という取引に参加する場合、指令から45分以内に応動して3時間電力を供給し続けられる調整力を担保しなければならず、蓄電設備の管理・制御技術を確立する必要があるのだ。

そこで、RE100電力は、四国電力管内に5ヵ所新設される日本エネルギー総合システムの蓄電設備併設型太陽光発電所を運用する。1ヵ所あたり交流出力約50~250kWの太陽光発電所と蓄電容量約400~700kWhの蓄電設備が併設される予定で、稼働後はRE100電力が設備を運用し、需給調整市場の三次調整力で取引を行う。

同社は、JEPX(日本卸電力取引所)へ電力を販売するよりも、需給調整市場での取引の方が収益性は高いとみているが、黒淵誠二社長は、「実運用による経験が重要なので、実際に需給調整市場で取引し、蓄電池の収益性を検証していきます」と話す。実際の検証としては、スポット市場、時間前市場、需給調整三次②市場の3市場でのAI(人工知能)による単価予測を行い、収益性の一番高い市場での入札又は売電を行う。

24年4月にはより早い応動が求められる『一次調整力』や『二次調整力』の取引が始まる。これらの参加も見据えて、系統用蓄電事業にも着手、黒淵社長は「指令から10秒以内に蓄電設備を制御できるのかどうかといった検証もしていきます」と方針を語る。

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