有力再エネ会社が熱視線

チントのn型単結晶パネル

中国の太陽光パネルメーカー、チントニューエナジーテクノロジーは高効率なn型単結晶パネルをいち早く量産化し、世界で納品実績を伸ばしている。日本の再エネ会社からも採用され始めている。

チントニューエナジーテクノロジーはこのほど、太陽電池セルと太陽光パネルの年産能力をそれぞれ55GWへ引き上げた。2022年末時の22GWから2倍以上の生産拡大で、すでにn型単結晶シリコンセルと同セル搭載パネルが生産量の8割を占めている。同社は今後もn型単結晶セル・パネルの生産を強化し、24年末までに75GW、25年末には100GWまで年産能力を拡張する計画だ。

同社は、太陽光パネルの需要拡大が確実となるなか、p型単結晶パネルからn型単結晶パネルへの技術トレンドの変化を捉え、ここに来てn型単結晶パネルの量産に踏み切った。

n型単結晶パネルについて、同社日本法人であるチントニューエナジージャパンの呉建鋒社長は、「セルの構造がp型単結晶パネルより優れているので、出力や変換効率が高くなります」と語り、同社のn型単結晶パネルには4つの特長があることを示した。

1つ目は、パネル裏面の発電性能だ。p型単結晶パネルの裏面発電性能が表面の70%程度であるのに対し、同社のn型単結晶パネルは同80%であるという。

2つ目は、温度係数の優位性だ。太陽光パネルは気温が上昇すると内部の抵抗値が上がり、発電ロスが生じるが、同社のn型単結晶パネルはセルの構造上、内部ロスが少なく、気温上昇による発電低下が小さい。

3つ目は、低照度下の発電性能だ。同社が明け方や曇天の低照度下で比較したところ、n型単結晶パネルは、p型単結晶パネルより最大で約1.5%多く発電したという。

4つ目は、経年劣化率が低い点だ。p型単結晶パネルの30年後の出力が製品出荷時の84.9%であるのに対し、n型単結晶パネルは87.4%の出力を維持できる見込みだという。それだけに、30年という長期の出力保証を付与できるのだ。

実際、同社は自社のp型単結晶パネルとn型単結晶パネルを設置し、1年を通じて発電量を比較したところ、片面だけでn型単結晶パネルの方が3.6%高い発電量が得られたという。

同社は現在、変換効率22.7%・出力585Wの144セル搭載n型単結晶パネルを日本で販売しており、受注を伸ばしている。