ドイツエネルギー転換の真実

脱炭素化への新たな課題

ドイツでは再生可能エネルギーの導入こそ進んでいるが、温室効果ガス削減への動きにはなお課題がある。さらなる打開策が必要だ。

西村健佑(にしむら・けんすけ)

1981年大阪府生まれ。2005年立命館大学経済学部卒業後ドイツに留学。ベルリン自由大学環境政策研究所で環境学修士を修め、その後エネルギーに関する調査を実施。現在は通訳・翻訳、調査を幅広く手掛けている。

ドイツの2020年における温室効果ガスの排出削減状況は、コロナ禍の影響で前年比42.3%減となり、1990年比40%削減の目標を達成した。ただ、シンクタンク、アゴラ・エネルギー革命は、コロナ禍による電力需要の減少がなければ、温室効果ガスの排出削減率は90年比37.8%減にとどまっていたと試算、努力不足を浮き彫りにした。

事実、20年の総電力消費量こそ政府目標の08年比10%減を達成したが、一次エネルギー消費量は目標の08年比20%減に届かず、18.7%減だった。とくに一次エネルギー消費量に占める再生可能エネルギー比率は16.8%と、政府目標の18%を下回り、34%の石油や27%の天然ガスが多くを占めた。つまり、熱と交通の分野では、いまだ化石燃料の割合が大きく、温室効果ガス削減の障害となっているわけだ。

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