再エネ需要の中核 RE100のいま

〝RE100〟実現へ

脱炭素企業9社の挑戦②

村田製作所/戸田建設/セイコーエプソン/いちご

①RE100参加時期 ②RE100目標年 ③直近の再エネ比率

気候変動対策の強化を掲げ、温室効果ガスの排出削減に取り組む村田製作所は、20年12月にRE100へ参加した。国内約30ヵ所、海外約20ヵ所の事業所や工場で使う年間25億kWhに及ぶ電力を50年度までにすべて再エネ電力に切替える計画である。

21年3月期には再エネ比率を15%まで高めており、管理グループファシリティ部の坂田繁寛部長は、「これまでは再エネ証書の購入に頼ってきたが、今後は太陽光発電設備の導入や再エネ電力メニューの活用を積極的に行っていく」と方針を述べる。

そして同社は21年11月、生産子会社の金津村田製作所で再エネ100%を実現した。出力638kWの太陽光発電設備と、蓄電容量913kWhのリチウムイオン蓄電設備を導入。太陽光電力だけで電力消費量の約13%を賄い、残りを再エネ電力メニューに切替えることで実現したのである。22年1月には、フィリピンの工場で使用する電力を再エネ100%へ転換した。太陽光発電設備を導入し、地熱発電を中心とする再エネ電力を購入している。

こうして同社は再エネの追加性を重視しながら、24年度までに再エネ比率を25%まで高め、30年度には50%まで引き上げる中間目標を設定している。今後の取り組みについて、坂田部長は「まずは徹底して省エネを進めていく。社内での投資基準を緩和し、各事業所で省エネ関連設備を導入しやすくする」と話す。そのうえで、同社は太陽光搭載カーポートを含めて自己資金による自家消費用太陽光発電設備の導入や、再エネ電力への切り替え、さらにはオンサイトPPAによる再エネ電力利用も検討していくという。

そんな同社は、蓄電設備を製造・販売している。正極材にオリビン型リン酸鉄リチウムを使う蓄電池セル製造の事業を17年にソニーから買収すると、三元系リチウムイオン蓄電池よりも燃え難く、長寿命である点を活かして製品化してきた。現在は蓄電池セル製造と蓄電設備の組み立てを国内で手掛け、住宅用蓄電設備と産業用蓄電設備を販売、住宅用には天気予報をもとに自動で最適制御する機能を導入するなど商品の差別化を図っている。

それだけに、今後は蓄電設備を活用して、RE100を目指す脱炭素企業向けの事業展開を検討している。つまり、蓄電設備を利用して太陽光電力の効率的な運用を支援していくわけだ。金津村田製作所に大型蓄電設備を導入したのは、新規事業の実証実験も兼ねていたようで、坂田部長は「まだデータ集めの段階だが、早期に太陽光発電量と需要予測の技術を確立して、最適制御まで含めて蓄電設備を販売していきたい」と展望を語る。

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