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JRE、非FITで蓄電池併設の太陽光発電所を建設

JREが茨城県内で蓄電池を併設する太陽光発電所の建設を進めている。FITを活用しない新たな発電事業のモデル構築を目指す。(本誌・岡田浩一)

再生可能エネルギーの発電事業を手掛けるジャパン・リニューアブル・エナジー(=JRE、東京都港区、竹内一弘社長)は、茨城県内で蓄電設備を併設する太陽光発電所を建設しており、2022年1月にも稼働させる。経済産業省の補助事業に採択され、FITは活用しない。電力小売り子会社のJREトレーディングを通じてJEPX(日本卸電力取引所)や新電力会社などへ環境価値つき再エネ電力を卸していく。

同社は、出力計665kWの中・トリナ・ソーラー製太陽光パネルと、同437.5kWの中・ファーウェイ製PCS(パワーコンディショナ)、蓄電容量1812kWhの米・テスラ製蓄電設備を採用し、富士アイティへEPC(設計・調達・建設)を発注した。特徴的なのは、東芝ネクストクラフトベルケのアグリゲーションシステムを活用し、発電量やJEPXの取引価格などを予測すること。太陽光発電設備で発電した電力を蓄電設備にため、JEPX価格が高い時間帯を狙って卸していく。

FIP(フィード・イン・プレミアム制度)の始動が間近に迫るなか、同社はFITを活用しない事業モデルの構築を急ぐ。計画値通りに逆潮流する〝同時同量〟の実現に発電予測や蓄電池制御が不可欠なうえ、複数の発電所を運用する発電BG(バランシンググループ)の構成が有効なため、今回の事業で適切な蓄電容量を検証し、発電BGの適正な運用に繋げる。

同社開発企画チームの山越泰斗アシスタントマネージャーは、「非FITの発電事業における当社の立ち位置や、アグリゲータへ委託する事業領域などを細かく見極めていく」と方針を語る。

同社は12年の設立後、太陽光発電を中心に再エネ発電事業を展開、保有する再エネ発電所は建設中のものも含めて60ヵ所、約870MWに及ぶ。今後は風力発電所の開発を強化する方針で、現在2GW以上の風力発電所の開発を進めている。

なお、現在同社の発行済株式の75%をゴールドマン・サックスが、25%をシンガポール政府投資公社がそれぞれ保有しているが、22年1月にはエネオスが全株式を取得する予定だ。

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