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低圧太陽光にFIP適用へ

審議会で検討開始

低圧太陽光発電所の新規開発が再び加速するかもしれない。経産省は低圧太陽光発電設備をFIPの適用対象とする方向に転じた。(本誌・楓崇志)

経済産業省は2022年8月17日に再生可能エネルギーの普及策などを議論する審議会を開催。出力50‌kW以上の太陽光発電設備を対象としている現在のFIP(フィード・イン・プレミアム制度)の適用範囲を10‌kW以上50‌kW未満の低圧太陽光発電設備まで広げる案を提示した。

50年のカーボンニュートラル(炭素中立)実現に向け、太陽光発電のさらなる普及が欠かせない。だが、FITの新規認定量は21年度こそ前年度の1.7GWから2.4GWに増えたものの、3GW以上だった19年度以前と比べて減少傾向にある。電力系統や土地の制約、売電単価の下落による収益性の低下が主な要因と見られるが、低圧太陽光発電設備は20年度以降、営農用を除き、地域活用要件を満たしたうえで余剰売電のみが認められるという制度変更の影響も大きかった。

むろん、低圧太陽光発電設備へのFIP適用案がなかったわけではない。太陽光発電協会は21年10月29日に開かれた『調達価格等算定委員会』の意見表明で、低圧太陽光発電設備のFIPの選択及びFITからの移行を認めるべきとの意見を挙げていた。

最終的に要望は通らず、FIP初年度となる22年度は対象外となったが、市場では脱炭素化を推進する企業や自治体が増え、環境価値を持つ〝非FIT〟低圧太陽光発電所開発が進んだ。そこで再エネの普及促進と地域共生を促すために、国は低圧太陽光発電設備のFIP適用を認める方向に転じたのかもしれない。

ただし、FIPが適用される低圧太陽光発電設備に対しては別途要件が設けられる方向だ。審議会では、相対契約のもと、電力供給先が特定卸供給事業者(アグリゲータ)や小売電気事業者である場合や、同一事業者が保有する認定発電設備の出力合計値が一定規模以上である場合にFIPの適用を認める案が示された。非FIT低圧太陽光発電所の開発業者と電力会社や商社などの協業が多いだけに、彼らを後押しする制度設計になりそうだ。

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