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開発相次ぐ系統用蓄電所

開発競争が過熱!?

事業化を技術的に支援する企業の動きも活発になってきた。九州電力子会社のニシム電子工業は、系統用蓄電所などに向けて、独自開発したEMS(エネルギー管理システム)と蓄電設備を提案し、EPCやO&M(管理・保守)業務なども提供している。同社ESS事業推進本部ESS事業部の横尾貴志企画営業グループリーダーは、「特に国の補助事業が明らかになってからの引き合いは旺盛だ」という。

同社は、ネクストイーソリューションズと九州電力が運用する出力1MW、蓄電容量3000kWhの系統用蓄電所、『大牟田蓄電所』の設計や施工などを担当。22年8月の運用開始後は保守業務を手掛けている。横尾グループリーダーは、「先行事例がないなかで知見を蓄積することができた。実績を活かし、提案を強めたい」と意気込む。

系統用蓄電事業では、卸市場、容量市場、需給調整市場での取引が主な収入源となる。シミュレーション次第では10年以内の投資回収が見込めるようだが、資源エネルギー庁が23年度の導入を目途に脱炭素電源への新規投資を対象とした入札制度の創設を検討するなど、制度が完全には固まっておらず、将来予測は難しい。

関電エネルギーソリューションの谷口部長は、「蓄電池の仕様や特性を踏まえ、3つの市場取引を上手く組み合わせなければならない。運用時に各社の特色が出るはずだ」と見通す。

再エネ発電所と同じく電力系統に接続するため、系統制約を踏まえた適地の選定も事業化の鍵となるが、手厚い補助金がある。開発競争が過熱しそうだ。

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