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環境配慮基準 相次ぎ策定

〝再エネ特区〟拡大か

長野、太陽光に補助金支給

全国の都道府県に先駆けて環境配慮基準を設定した長野県は、促進区域内の太陽光発電事業に補助金を交付することを決めた。23年度から新たに追加した支援策で、事業費の5分の2以内、上限1200万円を補助する。長野県環境部環境政策課ゼロカーボン推進室再生可能エネルギー係の松本健係長は、「市町村には地域貢献型の再エネの導入を促進してもらいたいが、事業者にとって再エネ事業を行う利点が薄かった。そこで、促進区域内の事業に補助金を支給することとした」と経緯を語る。

さらに、長野県は、市町村の定めた『エネルギー自立地域計画』に基づいて再エネ設備を導入する市町村に対し、1市町村あたり事業費の2分の1、5年間で最大1億円を支援する。これはいわば都道府県版の『脱炭素先行地域』事業で、23年度から複数年に渡って実施する計画である。

ただ、長野県では、再エネの規制条例を策定した市町村の数が全国で最も多い。事業者と住民のトラブルが多発したことを受け、県が条例のモデル案や対応策のマニュアルを作成した経緯もある。これについて、松本係長は「自治体は、地域住民と事業者の調整役となり、トラブルを解消していく役目も担わなければならない」と、一定の規制は必要との見解を示しつつ、「地域との共生を図りつつ再エネを導入していく」と方針を述べている。

再エネ事業の環境配慮に詳しい名古屋大学大学院環境学研究科の丸山康司教授は、「地域にとって望ましい再エネ事業をいかに増やせるか、そのためにも、自治体は、ゾーニングによる促進区域の設定と同時に、地域裨益型の再エネ事業のルールを明確化する必要がある」と述べる。

ゼロカーボンシティを目指す市町村にとって、実効性のある脱炭素化計画を策定するためにも促進区域の設定は重要だ。自治体の動きから目が離せない。

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