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22年度の再エネ出力抑制量5.7億kWhに

中部電、北陸電が出力抑制開始

再エネの出力抑制が全国に広がっている。中部電と北陸電がこのほど出力抑制を開始し、東電と関電を除く8電力管内で実施されるようになった。すでに年間5.7億kWhに及ぶ再エネ電力が無駄に捨てられている。(本誌・土屋賢太)

中部電力と北陸電力は2023年4月8日、再生可能エネルギー電力の出力抑制を始めた。これで東京電力と関西電力を除く8電力管内で再エネの出力が抑制されることになった。

22年度は、九州電力管内の再エネ電力の出力抑制量が4.5億kWhで、他の電力管内も含めると、5.7億kWhに達した。再エネ電力1kWhあたりの価値を10円とすれば、57億円に及ぶ再エネ電力の価値が消失したことになる。

この社会的損失は増えるに違いない。経済産業省の統計によると、電力系統に接続された太陽光発電設備の出力は22年12月末時点で約68GW以上で、今後さらに増える方向だ。一方で、電力料金単価が高騰するなか、需要側では全量自家消費用の太陽光発電設備や蓄電設備の導入が加速しており、電力系統を介して供給する系統電力の需要が減少する可能性もある。 

つまり、電力系統における需給バランスの不一致はさらに広がり、再エネの出力抑制量は増える傾向にある。事実、大手電力各社の予測によると、23年度は北海道電力を除く7電力管内で出力抑制量が増加し、前年度比61%増の9.2億kWh規模になる。27年度には出力抑制で無駄になる再エネ電力の規模が年間1000億円に達するとの予測もあるだけに、対策は急務である。

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