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再エネ抑制 九州で年74回

4%超の太陽光が無駄に

九電は2019年度に九州本土で再エネの出力抑制を74回実施した。事実上、太陽光電力は4.1%が、風力電力は2.3%が無駄になった。20年度はコロナ禍の影響でさらに抑制が増えそうだ。(本誌・平沢元嗣)

九州電力管内における太陽光発電所と風力発電所1基あたりの抑制回数は、抑制に際して現地で操作が必要な「オフライン発電所」で22〜24回、遠隔抑制可能な「オンライン発電所」で15〜16回だった。オンライン発電所とオフライン発電所で抑制回数に差があるのは、19年10月に経済産業省が『出力制御の公平性の確保に係る指針』を改定したからだ。オフライン発電所の抑制回数がオンライン発電所より多くても、公平性に反しないと定めたのである。これを受け九電は出力抑制の運用法を見直した。

19年度上期まではオフライン発電所とオンライン発電所の抑制日数を同等に維持しなければならず、九電は前日指令の段階で抑制量は最大誤差をもとに、つまり翌日に出力抑制量が不足しないよう見積もっていたため、当日抑制が不要になった場合もそのまま抑制を実施した。だが19年度下期以降は、前日指令による出力抑制量は、発生率が比較的高い平均誤差をもとに算出し、かつオフライン発電所から抑制を始め、オンライン発電所は調整弁にする運用に変えた。これによって従来よりも9%程度出力抑制を減らせるとした。実際、前日指令を出しながら当日出力抑制を実施しなかった日は19年度下期に19日あったという。

では19年度に九州で再生可能エネルギー電力がどの程度抑制されたのか。九電によれば、太陽光発電が44.3万MWh、風力発電が1.5万MWhである。この抑制量と各電源の実発電量を合わせた期待発電量に占める抑制量の割合を逸失電力量比率というが、この値は太陽光発電が4.1%、風力発電は2.3%だった。つまり、九州では19年度、太陽光発電設備で発電し得る総電力量の4.1%が、風力発電設備で発電し得る総発電電力量の2.3%が無駄に捨てられたことになる。これら再エネ電力の1kWhあたりの原価を7円と低く見積もっても、実に32億円にのぼるのだから決して小さい規模ではない。

では20年度はどうか。抑制回数はさらに増えそうだ。というのも、まずこの1年で再エネの導入量が大幅に伸びている。太陽光発電は19年3月末時点から900MW以上増え、20年3月末には累計導入量が9440MWに、風力発電は70MW増え、同580MWに達した。しかも、接続検討の申し込み済み未稼働案件が、太陽光発電は6620MW、風力発電に至っては1万3150MWもあるのだ。

さらに、コロナ禍で工場や事業所の操業を停止する企業が相次ぎ、電力需要が減少している。九電は20年3月にテロ対策工事の遅れから川内原子力発電所1号機の稼働を停止。これにより出力抑制の頻度が減少するとの予想もあったが、4月は22回、5月も20日までにすでに14回で、昨年を上回るペースだ。

5月20日には川内原発2号機もテロ対策工事の遅れで停止したが、今後も19年度と同等か、それ以上に出力抑制は実施されるだろう。

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