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パワーエックス、再エネ電力販売に本格参入

オフサイト太陽光と系統蓄電池で夜間も供給

蓄電池ベンチャーのパワーエックスが再エネ電力の販売に乗り出す。系統用蓄電設備を活用するオフサイトPPAで都内の施設に再エネ電力を供給していく。(本誌・岡田浩一)

パワーエックス(東京都港区、伊藤正裕社長)は2023年11月15日、オフサイトPPA(電力売買契約)方式で太陽光発電由来の再生可能エネルギー電力を販売すると発表した。FITを活用しない〝非FIT〟の太陽光発電所や系統用蓄電所のほか、バイオマス発電所などの再エネ電源を確保し、発電BG(バランシンググループ)を運用する計画である。「夜間太陽光」と称し、夕方以降も都内のオフィスビルや商業施設へ再エネ電力を供給していく。

専用のウェブサイトを設け、11月15日には買い手の募集を開始した。PPA単価は25円/kWh程度で、期間を10年以上とし、24年8月を目途に東京電力管内で15MW相当の供給を開始する。その後、販売エリアを本州全域に広げ、24年には第2期の募集を始める予定だ。

再エネ電源の開発では、EPC(設計・調達・建設)企業と協業する。23年8月にはウエストホールディングスとの連携を発表したが、複数のEPC企業と太陽光発電所や系統用蓄電所の開発を進めていく。

パワーエックスの伊藤社長は「FIP(フィード・イン・プレミアム制度)を活用して蓄電設備併設の太陽光発電所を開発していきたい」としたうえで、「出力抑制が深刻な九州電力管内であれば、出力抑制を回避できるという利点もあるので、〝FIP転〟による蓄電設備併設型発電所を開発できるかもしれない」と言及した。

また、パワーエックスは同日、日本郵政および日本郵便と脱炭素化に向け、協業すると発表。パワーエックスは24年8月以降、岡山県総社市内の岡山郵便局に蓄電容量2132kWhの蓄電設備を設置し、オフサイトPPAで再エネ電力を供給する。JEPX(日本卸電力取引所)の取引価格や郵便局の電力需要の変動に合わせて蓄電設備を運用しつつ、再エネ電力を供給することによって郵便局の脱炭素化と電力代削減を支援する。

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