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農水省、営農用太陽光の行政指導強化へ

農地法に違反する営農用太陽光発電の事業者が散見されるなか、農水省は行政指導を強化する方針を示した。2024年4月にはガイドラインが策定される方向だ。(本誌・土屋賢太)

営農用太陽光発電は、営農の継続を条件に特別に認められた発電事業だ。事業者は、太陽光パネルの下部農地で作物を栽培し、その収量が地域の平均的な単収の8割以上を確保する必要があるが、この要件を満たせない事業者が少なくない。

農林水産省によると、2020年3月末時点の全国の営農用太陽光発電所2535件のうち、458件で営農に支障があり、なかには耕作を怠っていた事例もあったという。経済産業省は営農用太陽光発電事業のFIT認定を23年4月に5件、10月に17件取り消した。いずれも事業者が農地法に違反していたのだ。

ただ、法令違反にあたる事業者に対しても、地方の農業委員会は事実上、改善を促す指導しかできない。それだけに、地方自治体からは、許可取り消し処分にあたる法的基準の設定を求める声が上がっていた。

そこで農水省は研究会を立ち上げ、23年12月4日には営農用太陽光発電の行政指導を強化する省令・ガイドライン案を公表。農地法施行規則を改正して農地法違反者への行政指導を強化する方針を示した。

具体的には、下部の農地が4ha以上の事業者や農地転用後に営農に支障があった事業者に対して毎年現地調査をするよう農業委員会に求める。下部農地で耕作を怠り、行政指導を受けても改善しない事業者に対しては、農業委員会の判断で設備の撤去を可能にする。事業者が地域で栽培されていない作物を作付けする場合、栽培実績や見込み収量、営農による収支計画を示す資料の提出を求める。

農水省農村振興局農村政策部農村計画課の松浦宏聡課長補佐は、「省令やガイドラインを策定して不適切な事業者への行政指導を強化するつもりだが、当然ながら営農用太陽光発電を今後も推進していく」とした。

農水省は24年4月にガイドラインを策定して省令を施行する予定だ。

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