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伊藤忠、東京都らと蓄電所ファンド設立

総額100億円、50万kWh開発へ

伊藤忠商事らは東京都と国内初となる系統用蓄電所の官民連携ファンドを立ち上げる。総額100億円の運用を目指し、関東地方で蓄電容量50万kWhに及ぶ系統用蓄電所案件に投資していく構えである。(本誌・楓崇志)

伊藤忠商事は2023年12月4日、世界最大級の蓄電所ファンドを運用する英ゴア・ストリート・キャピタルと、東京都が公募していた系統用蓄電所の官民連携ファンドの事業者に選定された。都の拠出金20億円のほか、民間企業から出資を募り、総額100億円規模のファンドの組成を目指す。関東地方で特別高圧連系する系統用蓄電所に投資していく方針だ。

伊藤忠商事エネルギー・化学品カンパニー電力・環境ソリューション部門次世代エネルギービジネス部の道野僚太統括は、「投資先は2~6件程度。開発規模は蓄電容量換算で合計50万kWhを目指したい」と意気込みを見せる。

伊藤忠商事は原材料から蓄電池関連事業を展開し、国内では7件の系統用蓄電事業への参画を公表済みだ。ゴア・ストリート・キャピタルは17年に系統用蓄電事業へ参入、翌年から英国で上場ファンドを運営し、出力換算で計1.17GWに及ぶ系統用蓄電事業を欧米で開発している。両社はこれまでの実績や知見を活かし、ファンドを運営する。

もっとも、今回のファンド組成には、資金調達法を拡充する狙いもあった。というのも、系統用蓄電事業は、市場取引で収益を稼ぐ仕組みゆえ、事業の予見性が低く、事業収益を返済原資とするプロジェクトファイナンスの組成が難しい。むろん20年間の固定収入が得られる『長期脱炭素電源オークション』を活用すれば、プロファイの組成は可能になるが、24年1月の初回の募集容量は揚水発電と合わせて最大1GWに過ぎない。募集容量を大きく上回る案件の開発が進むなか、資金調達においては課題があったのだ。

そこで、伊藤忠らはファンドによる新たな資金調達法の確立を狙った。ファンドでは補助金やオークション、プロファイを活用するほか、土地の選定から運用まで一連の工程を出資者に開示することによって金融機関や蓄電事業者になり得る企業からの出資も募る考えだ。対象が特高案件ゆえ、稼働時期は26~27年度となる見込みだが、同社らは金融機関との協議を早々に着手する模様である。

再生可能エネルギーのさらなる導入拡大に系統用蓄電池の普及は欠かせないが、資金調達において課題がある。今回の官民連携ファンドは市場拡大の鍵を握りそうだ。

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