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21年度のFIT議論開始

2年分の売価決定へ

2020年11月27日に開かれた調達価格等算定委員会で21年度の太陽光発電のFIT売電単価の議論が行われた。22年4月1日の改正法施行を控え、21年度は現行法最後の年だ。入札対象外の事業用太陽光と住宅用太陽光は向こう2年分の売電単価を設定する。(本誌・楓崇志)

算定委では、事業用太陽光発電の入札制の対象範囲を20年度と同じ250kW以上に据え置いたうえ、現在は事前非公表としている上限価格を事前公表する方向で意見がまとまった。ただし、競争を促すため、入札1回あたりの募集容量を減らし、募集回数を増やす。詳細は、12月25日に公表予定の20年度下期入札の結果を踏まえ、決定していくとした。

入札の対象外である50‌kW以上250kW未満の事業用太陽光発電では、売電単価の算定方法を見直し、向こう2年分の売電単価を決定する。これまで毎年の実績データをもとにトップランナー方式で必要なコストを積み上げ、価格目標との整合性を踏まえつつ翌年度の売電単価を設定してきたが、コスト低減速度が鈍化し、価格目標への道筋が不透明なため、今回から価格目標の達成を前提とした売電単価の設定に変える方針を示した。

事業用太陽光発電の価格目標は、「25年に運転開始する案件の平均的な発電コストで7円/kWh」で、IRR(内部収益率)を加えた売電単価は8.5円相当となる。算定委ではそれらを踏まえたうえで、多くの発電所が認定から1年以内に稼働することから23~24年度に売電単価を8~9円相当に引き下げる必要があると想定した。

業界関係者からは、「20年度に12円だった売電単価は、21年度に11円、22年度に10円、23年度に9円となるのでは」と予測する声もある。

20年度から営農用太陽光発電の一部を除き、余剰売電に限定された10~50‌kWの事業用太陽光発電については、現時点では実績データがないだけに、現行の地域活用要件を維持していく方向だ。

一方、住宅用太陽光発電も、21年度と22年度の向こう2年分の売電単価を決定する。電力会社への新規申請終了から翌年度の売電単価決定まで数ヵ月の端境期がなくなるため、ある販売会社の社長は、「営業の機会損失が減るのでありがたい」と歓迎する。

なお、今回の算定委では、22年度における規模別の区分案も示されており、1MW以上をFIP(フィード・イン・プレミアム制度)かつ入札制、50‌kW以上をFIPと入札を含むFITの選択制とし、FIPの基準価格はFITの売電単価と同水準とする方向で固まった。

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