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米政府、中国新彊産 太陽電池原料の輸入を制限

米政府が新疆ウイグル自治区産の太陽光関連製品の輸入を一部禁止した。ウイグル族への強制労働疑惑を受け、制裁した形だ。太陽光パネルの価格が上昇する恐れもある。(本誌・平沢元嗣)

バイデン米政権は2021年6月24日、新彊ウイグル自治区に生産拠点を構えるホシャインシリコンインダストリー(合盛硅業)の多結晶シリコン及びそれを含む太陽光パネルなどの輸入を禁止すると発表した。

理由について、米政府は、「21年6月のG7で新彊ウイグル自治区を含め、強制労働に反対し、世界のサプライチェーンがそれを利用しないことを約束した」としたうえで、「ホシャインが多結晶シリコン製造でウイグル族に強制労働を強いたことを示す合理的な情報に基づき」、今回の決定を下したという。ただし、強制労働の伴わない製品であるという証明があれば、通関を認める考えである。

さらに米政府は、ホシャインに加え、ダコニューエナジー(新疆大全新能源)、イーストホープ非鉄金属(東方希望有色金属)、GCLニューエナジーマテリアルテクノロジー(新疆協鑫新能源材料科技)ら多結晶シリコン関連企業4社と、準軍事組織のXPCC(新疆生産建設兵団)をエンティティー・リストに追加した。これは商取引上の〝ブラックリスト〟であり、米企業が同リストに登録された企業と商取引を行う際は米政府に許可を申請し、受理されなければならない。

今回の制裁が世界各国に波及すれば、太陽光パネルの価格相場が上昇する恐れがある。そもそも、電力を大量に使う多結晶シリコン工場が新彊ウイグル自治区に集中したのは、同地区の電力代が安いためだ。新疆ウイグル自治区の多結晶シリコンの生産量はすでに世界の多結晶シリコン需要の半分を占めており、ホシャインは新彊最大のメーカーである。その原料を用いた太陽光パネルの流通まで制限されるのだから、価格相場が揺れ動く可能性もないではない。

ただ、中国の太陽光パネルメーカーによると、今回の禁輸措置に端を発した値上げは起きていないという。もともと20年夏以降、多結晶シリコンの値段は上昇し続けていた。新彊の多結晶シリコン工場が爆発事故や洪水による強制避難に遭い、生産が滞ったためである。

あるいは、多結晶シリコン工場はモンゴル自治区にも点在しており、太陽光パネル中国大手の幹部は、「新彊の多結晶メーカーの間ではモンゴルの生産を増強する動きもある」と話す。

一方、別の太陽光パネル中国大手のアジア担当者は、米国の禁輸措置について「まずはトレーサビリティを導入し、強制労働に加担していないことを証明することになるだろう」と明かす。

ともあれ、米政府は今後も中国企業への制裁を強める方向だ。21年7月14日には上院で『ウイグル強制労働防止法案』を可決し、制裁の対象を太陽電池などから新彊ウイグル自治区内の生産品すべてに広げた。そして強制労働を課していない証明を義務づけ、立証できなければ禁輸するという。

今後は日本で流通する太陽光パネルの値段が上昇するかもしれない。米国含め他国の出方やパネルの価格動向を引き続き注視していく必要があるだろう。

太陽電池の原料である多結晶シリコン。新疆ウイグル自治区で世界需要の半分超を生産していると言われている

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