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台風19号被害甚大

示された分散電源の価値

千葉・鋸南の山間部 いまなお停電続く

土砂崩れで寸断された鋸南町市井原地区の送電線

取材を進めると、台風15号の襲来した9月9日から1ヵ月半近く経ったいまも停電が続いている地域があった。房総半島の南部、千葉県鋸南町市井原地区の山間部だ。10月20日、土砂崩れの形跡の残る細い道を進むと、送電線が完全に寸断されていた。

「この辺りに電気が来ていないことは完全に風化している」と憤るのは、断線現場の奥に住居を構える農家の森比佐之さんだ。森さんは、「東京電力は9月26日に発電機を持ってきてくれたが、それっきり。家の近くの電線にかかる枝を除去するにも東電に任せなければいけないが、再三連絡しても音沙汰がない」とし、今後は住宅用太陽光発電設備の導入を思案しているという。

実際、東電は鋸南町の停電軒数を「-」と表示し、「ゼロ」とも「全面復旧」とも公表していないが、あたかも停電が解消したかのような印象を受けなくもない。

いずれにせよ、現実には停電で不便を強いられる人がいまなお存在し、大手電力会社が築いた送配電インフラは完全ではないのだ。ならば、太陽光発電設備や蓄電設備などの分散型電源で補完すべきではないか。防災・減災の観点からも、分散型電源を普及させる意義は大きい。

森比佐之さんは、町外の避難先から自宅の整理に訪れていた

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