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静ガス、静岡市の工業団地でPPA実施へ

フジタと新会社設立

静岡ガスは2022年7月22日、大和ハウスグループのフジタと太陽光発電設備のオンサイトPPA(電力売買契約)事業などを行う新会社を設立した。静岡市内の工業団地に進出する企業にPPAサービスを提供する。地域内での余剰電力の融通や小規模電力網(マイクログリッド)の構築も検討していく方針だ。

両社は共同出資で新会社『S&F地域マネジメント』を設立し、静ガスが発行済株式の70%を、フジタが同30%を取得した。新会社では太陽光発電設備のオンサイトPPA事業を展開しつつ、顧客には静ガスとの取次契約のもとで不足分の電力を供給する予定だ。

新会社は静岡市駿河区大谷・小鹿地区の『恩田原・片山エリア』で事業を実施する。同地区は静岡市が産業振興や防災機能の強化を目的に土地利用を促してきた地域で、なかでも同エリアは環境省の脱炭素先行地域の対象となった工業団地である。なお、フジタは同エリアの土地区画整理事業における業務代行者の1社である。

新会社は、地域内の電力融通や小規模電力網の構築を視野に入れながら、PPA方式で太陽光発電設備を導入していく。静岡ガス営業本部都市エネルギー部都市デザイングループの柿沼卓也グループリーダーは、「まだ流動的だが、25年頃までには地域内での電力融通を始め、30年を目途に小規模電力網を構築したい」としたうえで、「地域全体で融通することで再生可能エネルギーのポテンシャルを最大化できれば」と語る。

同エリアへの企業誘致は途中段階で、進出企業がすべて決まっているわけではないが、約30‌haの計画区域内に最大8MWの太陽光発電設備を導入する構想がある。将来的に電力融通や小規模電力網の利用を想定しているため、余剰電力の発生を踏まえて太陽光発電設備を設置する方針だ。

新会社ではすでに第1号案件を受注済みである。物流施設の屋根に年末までに1.9MWの太陽光発電設備を設置する。

静ガスは21年12月に30年までの経営方針を発表し、地域共創の実現を目指しつつ電力・再エネ事業などの非都市ガス事業を大きく伸ばす考えを示した。今回のPPA事業は地域の脱炭素化に資する取り組みであり、経営方針の一環とも言えそうだ。

PPA事業を展開する予定の『恩田原・片山エリア』の恩田原側。右の建物がPPA第1号となる予定

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