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明電舎、系統安定化に向け蓄電池PCS発売へ

仮想同期発電機の機能搭載

重電メーカーの明電舎は2023年10月3日、電力系統の安定化に資する仮想同期発電機の機能を搭載した蓄電池用PCS(パワーコンディショナ)を商品化すると発表した。24年3月に発売し、離島などの小規模系統への導入を狙う。

タービンの回転によって発電する火力発電所などの同期発電機は、電力需給が急激に変動しても周波数を維持する慣性力や位相のずれを生じさせない同期化力を備え、系統の安定化に寄与している。だが、太陽光発電や蓄電池のPCSにはこの機能がないため、再生可能エネルギー電源の普及に伴い、系統が不安定になるという課題があった。

そこで同社は東京電力パワーグリッドと、疑似的に慣性力や同期化力を発生させる仮想同期発電機を開発。このほど仮想同期発電機の機能を搭載した出力600kWのPCSの商品化を進めた。

特徴は、一般の同期発電機と同様に慣性力を供給できる電圧型方式を採用した点だ。同社装置工場電力変換装置ユニット設計部電気設計課の井上稔也技師は、「周波数の変化を検知してから慣性力を供給する電流型方式と比べ、電圧型方式は時間差が生じないという利点がある」と述べる。

同社は、まず離島などの小規模系統での利用を想定。PCS単体で発売するほか、蓄電池と一体の製品も売り出す予定だ。︎

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