蓄電所の設備基礎に新たな選択肢

地盤保証付きUPG設計のススメ

系統用蓄電所の建設が本格化するなか、設備基礎の設計に関する新技術が登場した。それがUPG設計だ。工期の短縮や施工費の削減効果が期待できるうえ、大手損保会社の保険を活用した協会の地盤保証も付与される。従来のコンクリート基礎に代わる注目の基礎設計技術になりそうだ。

サステナブル地盤再利用協会の石本和光代表理事

UPG(アップグレード)設計とは、設備基礎の設計技術でありながら、審査や品質管理の工程を含め、地盤沈下や不同沈下を防ぐ仕組みまで盛り込んだ設計技術である。太陽光発電所の基礎工事などを多く手掛けてきたJOMS(東京都港区、石本和光社長)が開発した設計手法で、2025年10月に特許も取得。11月にはUPG設計の普及などを目的に一般社団法人サステナブル地盤再利用協会が設立、このほど活動を本格化させた。

もともとUPG設計は住宅の建替時における地盤改良体の再利用を目的に開発された。というのも、地盤改良された土地に建てられた戸建住宅では、建替時に地盤改良体の撤去工事が必要になることが多く、多額の費用負担に加え、大量の産業廃棄物や二酸化炭素排出量が発生し、土地評価額への悪影響も懸念されるという問題があったからだ。そこでそれを解決すべく、当初から地盤改良体の再利用を前提とした設計手法として生み出されたのがUPG設計なのだ。

そのUPG設計はいわば地盤改良を含めた基礎の設計技術でもある。それゆえに系統用蓄電所の設備基礎にも応用できる。そこで協会は住宅向けに普及を促進しつつ、足元で建設需要が高まっている蓄電所への対応にも乗り出したのである。

蓄電所の場合、蓄電池や受変電設備など設備の設置を検討している土地の地盤調査報告書と現況測量データをもとに、協会が地盤判定と基礎設計を実施していくことになる。その結果、たとえば、地盤改良が不要な場合はキャストイン工法を採用することもあれば、設計に基づく表層改良を施したうえで通常よりも小さなコンクリート基礎を選択することもある。一方、地盤改良が必要な軟弱地盤ならば、表層改良と柱状改良の組み合わせによる強度の高い地盤改良も行う。つまり設備を設置する地盤に合わせた適切な基礎設計を選択できるのがUPG設計の特色なのである。

サステナブル地盤再利用協会の石本和光代表理事は、「UPG設計では設備配置位置で行うSWS試験(地盤調査)を基本とし、地盤条件等が適合すれば、ボーリング調査を行わずに設計できます。それ以外にも地盤毎に設計を最適化していくので、既存のコンクリート基礎と比べてコスト低減や工期短縮効果が期待できます。特にキャストイン工法を採用できる場合は、従来のRC基礎と比較して、設備基礎の工事費の削減や工期の短縮が期待できます」と語る。