Wave Energy の高性能EMS 再エネ自給率99% 実現!
蓄電池併設の採算性確認
配電盤製造のウェーブエナジーが蓄電設備を自社の工場に導入し、採算性を確認した。独自に開発したEMSで再エネ電力の自給率を上げ、経済性を高めた。同社のEMS技術に迫る。

ウェーブエナジーは2025年5月、香川県三豊市内の第1工場に蓄電容量200kWhの蓄電設備を導入した。工場には屋根に出力145kWの太陽光発電設備と駐車場に45kWの太陽光パネル搭載カーポートを導入済みで、今回は既設の太陽光発電設備と新設の蓄電設備を独自のEMS(エネルギー管理システム)で制御、再生可能エネルギー電力の自家消費率や経済性を検証した。
具体的には、25年6月の1ヵ月間、太陽光発電設備と蓄電設備を併用して再エネ電力の自家消費率を計測したところ、85.5%に達した。太陽光発電単体の自家消費率が53.1%だったため、蓄電設備によって自家消費率が32ポイント以上向上したことになる。
特筆すべきは、25年6月9日の実績である。24時間の総消費電力量358kWhに対して自家消費率が実に98.9%まで上昇したのだ。この日は快晴ではなく、太陽光発電の発電が安定しない日だったにもかかわらず、買電電力量はわずか4kWhだった。ではなぜ、これほど自家消費率を高められるのだろうか。鍵は同社が開発したEMSにあるようだ。
もっとも、RPR(逆電力継電器)は急な負荷変動による系統への逆潮流を防ぐ機能で、RPRが作動すると、PCSが停止するため、RPRの作動回数は少ない方がいい。そこで同社はRPRが作動する前にPCSを高速で制御する技術を確立した。同社によれば、PCSへの出力制御の指令速度は、太陽光発電用PCSが0.5秒以下、蓄電池用PCSが0.3秒以下だという。加えて、同社は高精度な予測装置を開発した。気象データを使わずに独自のアルゴリズムで発電量や消費電力量を予測する技術で、これと高速制御を備えたEMSの運用によって自家消費率を大幅に向上させたのだ。
同社のEMSは計測誤差に起因するRPRの不要な動作にも対応済みで、同社の高畑俊樹取締役統括営業本部長は、「高精度予測と高速制御を備えた当社の負荷追従制御システムは、他の設備とは一線を画すものです」と胸を張る。
太陽光発電設備単体でも、多少のピークカットの効果は得られるが、高性能なEMSを搭載したウェーブエナジーの『自家消費パッケージ』を導入すれば、効果を最大限まで高められることだろう。

第1工場の余剰電力を第2、第3工場へ託送する新たな電力システムを構築中だ






