再エネ×デジタル化の現在地

最終段階に入ったFIP設計 争点はプレミアム設定

FIPの設計が最終段階に入った。残る争点は、市場価格が高騰した翌年のプレミアムの設定ルールだ。

FIP(フィード・イン・プレミアム制度)を活用して再生可能エネルギー発電事業を行う場合、発電事業者には、発電計画を立てて計画通りに送電する〝同時同量〟が義務づけられるが、投資インセンティブが確保され、期待収益はFITと変わらないと言われている。

ただFIPのルールはまだ確定していない。そもそもFIP価格という1kWhあたりの基準単価はFITの売電単価と同等になるようだが、FIP価格から参照価格を差し引いた額がプレミアムだ。そして参照価格はJEPXの前年度の年間平均市場価格などをもとに毎月補正され、「前年度年間平均市場価格+月間補正価格(=当年度月間平均市場価格−前年度月間平均市場価格)」の数式で求められる方向だ。ただ、この数式に当てはめると、市場価格が高騰した月の翌年の月のプレミアムが跳ね上がってしまう。

元々は、参照価格を前年度の年間平均市場価格で決めると、月毎に発電事業者の収益が変動し、資金繰りが安定しなくなることを危惧して月間補正がかけられることになった。ただ、市場価格がある月のみ異常に高騰すると、翌年の同月は参照価格がマイナスに触れ、発電事業者は多大な利益を得ることになる。国民負担が増えるため、参照価格がマイナスの場合はゼロにするという案が出ている。

確かに、前年の市場価格が高騰した際はプレミアムこそ付かないが、発電事業者は市場で高く電力を売れる。かつ参照価格が基準価格を上回る場合は差額納付(ネガティブプライス)が発生しないルールゆえ、理論上はFITより期待収益は高くなる。

いずれにせよ、2022年4月にはFIPが始まる。準備期間を考慮すれば、間もなくルールは決まる。FIPの活用を目論む発電事業者は、動向を注視しておこう。

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