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パネル税に総務省が「待った」

市と事業者へ協議を要請

岡山県美作市が条例化を目論む太陽光パネル税に総務省が「待った」をかけた。市と事業者に話し合いを求めた。(本誌・岡田浩一)

パシフィコ・エナジーはメガソーラー開発時に調整池を21ヵ所設け、容量を県基準の1.8倍まで確保した

地上に設置された太陽光パネルに対し、1㎡あたり年間50円を発電事業者から徴収するという太陽光パネル税。岡山県美作市が条例化に向け総務省に同意を求めたところ、総務省は2022年6月に市と特定納税義務者となる事業者へ再度協議するよう通知した。

総務省自治税務局は、「市と事業者の税に対する認識が大きく異なっている。両者の話し合いはほとんど行われていないと聞く。まずはお互い膝を突き合わせて意見交換する場が必要だと判断した。話し合いの結果を受けて、再検討していく」という。市と事業者は早ければ7月中にも協議の場を設けるようだ。

パネル税は自治体が独自に新設できる法定外目的税だが、条例化には総務大臣の同意が必要だ。21年12月に市議会で可決された後、総務省は市や事業者から意見を聴衆し、地方財政審議会を開いて検討してきた。

話し合いに向け、美作市税務課は、「パネル税の導入構想が浮上したのは、水防法改正に伴う岡山県の災害想定の変更がきっかけだった。太陽光発電所が環境へ負荷をかけているため、税金で防災対策を講じる。こうした背景やパネル税の必要性を事業者に伝えていく」としている。

一方で、パネル税が導入されると、年間の課税額が9000万円に及ぶメガソーラー事業を運営するパシフィコ・エナジーの水田洋一郎アセットマネジメント部門長は、「当社は、市と事前に協定を結んだほか、県からは林地開発許可や県土保全条例の開発許可を得ている。そのうえ、調整池の容量を県基準の1.8倍まで確保するなど、安全対策を実施してきた。一部の、しかも安全対策を講じている事業者を狙い打ちにするパネル税について、納得できるよう合理的な説明をしてほしい」と訴える。

パネル税は構想から3年以上が経過し、市議会で可決されたものの、市と事業者の溝は埋まっていない。そもそも太陽光発電所が災害を誘発しているという科学的根拠を市が示せていないなかで、妥協点を見出せるのだろうか。

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