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再エネ出力抑制量3.9億kWh 抑制率微減も28億円の損失

一律抑制開始

九州電力送配電は、21年4月に出力抑制の仕方を変更した。従来は再エネ発電所を順番に100%ずつ抑制したが、九州の全ての再エネ発電所を一律30分単位で一定量抑制する方法に改めている。輪番制で実施すると、系統連系済み太陽光発電設備が増えたため、旧ルールの再エネ発電所の抑制日数が上限の年30日を超え、それ以降は指定ルールの再エネ発電所のみ抑制する形になり、公平性を維持できなくなるからだ。ただし、旧ルールの再エネ発電所の抑制は抑制量が多い日に充て、年30日の上限分を最大限活用する方針だ。

では、21年度はどの程度出力抑制が実施されるのか。九州電力送配電は、抑制率が4.6%に増えると推測する。20年度に太陽光発電と風力発電が計0.93GW新規導入されたうえ、双方合わせて14GW超の未稼働案件が運開していくからだという。

事実、出力抑制の回数は増加。21年4月の抑制指示は19回あり、そのすべてで100%出力を抑制されたわけではないが、たとえば、九州各地に計20MWの太陽光発電所を保有する堀内電気は、4月だけで約2000万円の損失が生じ、20年3月と比べ、損失額は4倍以上に膨らんだという。

同社の堀内重夫社長は、「脱炭素社会の実現に向け、再エネの有効活用が叫ばれているのに、これだけの再エネが捨てられてしまうのは非常に残念だ」と語る。

21年5月16日時点で、出力抑制が実施されたのは九州のみだが、北海道や東北では、送配電会社が、大型連休中に初の出力抑制を実施する可能性について言及していた。実際はなかったが、年内にも他地域で出力抑制が始まりそうだ。

さらに、21年4月からは指定電気事業者制度が廃止され、東京、中部、関西でも、発電設備の規模に関係なく無制限・無補償の出力抑制が系統接続の条件となった。また、22年から従来は年30日の上限もなかった出力抑制対象外の発電設備まで抑制対象となる方向だ。これらには出力抑制対応機器がないため、経産省は、代わりに新ルールや指定ルールの太陽光発電所の出力を抑制し、その損失を対応機器未設置の事業者に負わせ、代行した事業者に対価を払う〝オンライン代理抑制〟を実施していく。

ともあれ、脱炭素社会の実現に向け、再エネ電力の有効活用をさらに検討していく必要があるだろう。九州では、蓄電設備併設型の太陽光発電所も徐々に登場している。

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