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新電力大手が経営破綻 市場価格暴騰の影響続くか

新電力大手のエフパワーが経営破綻した。今冬のJEPX価格暴騰が尾を引き、今後も新電力会社の倒産が続きそうだ。(本誌・平沢元嗣)

新電力大手のエフパワー(東京都港区、埼玉浩史社長)は2021年3月24日、東京地方裁判所に会社更生法の適用を申請し、同日受理された。20年12月下旬から21年1月中旬にかけて発生したJEPX(日本卸電力取引所)スポット価格の暴騰で逆ザヤが発生し、経営が行き詰まった。帝国データバンクによれば、エフパワーの負債総額は約464億円にのぼったという。新電力会社の負債額では過去最大とみられる。

エフパワーは18年4月に月間販売電力量で新電力首位の座についたが、同年6月期の決算では120億円の最終赤字を計上。翌19年6月期も売上高こそ過去最高の1606億円に達したが、184億円の最終赤字を抱え、一時は80億円の債務超過に陥った。

その後IDIグループから資金を調達して難を逃れた模様だが、20年6月期には売上高が前期比55%の大幅減少に陥り、同年12月のJEPX価格暴騰で業績が悪化。21年1月にはインバランス料金が負債総額の42%に相当する197億円に達したという。

東京地裁は3月24日、エフパワーに対し、保全管理命令や強制執行などに係る包括的禁止命令を、3月30日に更生手続き開始決定を下した。エフパワーは今後、再建の後ろ盾となるスポンサー企業を探し、事業を継続しながら再建計画に着手する考えだ。

エフパワーが入るビル

一方、中小規模の新電力会社も存亡の淵に立たされている。秋田県鹿角市の地域新電力会社、かづのパワーは21年2月14日に事業を休止した。同社は19年7月に鹿角市や地元企業の出資を受けて創業し、20年4月に電力販売を開始したばかりだったが、1年経たずに事業撤退を余儀なくされた。

今後も新電力会社の倒産や事業撤退は続くかもしれない。JEPX価格暴騰の影響で高額なインバランス料金を支払う羽目になった新電力会社が多いうえ、支払い時期は21年3月や4月である。しかも、彼らがインバランスの支払額を見誤っていた可能性がある。

事実、電力取引の数日後にJEPXが公表した速報値で試算するインバランス額と、2ヵ月後の確報値で決まる実際のインバランス額とに差があり、今回は予想に反して確報値が速報値を上回った。1月の平均速報値がkWhあたり59.2円だったのに対し、平均確報値は同77.65円だったのだ。

インバランスの支払額を見誤った新電力会社は、金融機関に追加融資の交渉を進めなければならないが、「金融機関は新電力業界に不信感を抱いている」(新電力会社筋)。支援を受けられず、資金繰りに窮する新電力会社が現れることは想像に難くない。

ただ、ある新電力コンサルの幹部は、「事業の継続を断念した新電力会社は意外と少ない印象だ」とし、「12月以前はコロナ禍で電力需要が減り、スポット価格が非常に安かった。その間に利益を得たおかげで事業を継続できているのだろう」との見方を示す。

いずれにせよ、JEPXに依存している新電力会社の前途は多難だ。今冬のような事態は再び起こり得る。それだけに、ある新電力支援企業の社長は、「市場価格の高騰で痛手を負った新電力会社は、BG(バランシンググループ)を選び直すべきだ」と訴える。

BGとは、中心となるBG親がその他のBG子に対して電力の需給管理や電力供給を行う複数の電力小売り会社の集まりだ。JEPXから電力を調達してBG子に高値で卸売りしていたBG親があれば、電源調達をJEPXに依存せずに一定以下の金額で電力を卸し続けたBG親もある。加盟するBGによって、明暗が分かれた形だ。

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