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UR都市機構、PPA実証開始へ

オンサイトとオフサイト融合型

UR賃貸住宅に設置された自家消費用太陽光設備(提供:UR都市機構)

都市再生機構(=UR都市機構、中島正弘理事長)は、賃貸住宅の屋上を活用し、オンサイトPPA(電力売買契約)とオフサイトPPAを組み合わせた新事業の構築にこのほど着手した。共同研究を実施する事業者を公募で選定し、事業化を検討していく。

新事業は、賃貸住宅の屋上などにPPA方式で太陽光パネルを設置し、団地内で電力を消費しつつ、余剰分を電力系統を介して別の団地や事務所で消費するというオンサイトPPAとオフサイトPPAを組み合わせたもの。

同機構は、事業モデルの検討や課題の整理のほか、実証実験を踏まえた事業性の判断を行う共同研究を実施するため、2021年11月29日から12月13日まで共同研究者となるPPA事業者を公募した。今後2事業者を選定し、22年2月中旬から24年9月末まで共同研究を行う。

UR都市機構は19年4月に温暖化対策の実行計画を策定し、二酸化炭素排出量を13年度比で23年度に15.9%削減、30年度に45%削減する数値目標を掲げていた。だが、国のカーボンニュートラル(人為的な温室効果ガス排出量実質ゼロ)宣言に加え、国土交通省らの検討会で公的機関の住宅・建築物で率先的に再生可能エネルギーの導入に取り組む方針が示されたことを受け、脱炭素化を加速。今回の共同研究もその一環である。

同機構住宅経営部保全技術課の桜井宏行課長は、「既存の建物に太陽光発電設備を設置しても、共用部や事務棟などでの電力消費量は限られており、再エネの導入量を増やしていくにはオフサイト型を組み合わせる必要があった。先進的な事例になるため、挑戦した」と話す。

今回の共同研究は千葉県内の2団地で実施される。いずれも5階建の15棟350戸程度の団地で、各々異なる事業者との共同研究になることから比較検証が行われる。PPAの電力供給単価は東京電力エナジーパートナーの再エネ100%電力の供給単価が目安になる方向だ。

UR都市機構は全国約1500団地、71万戸の賃貸住宅を管理・供給しているが、その全てに太陽光発電を導入できるわけではない。桜井課長は、「太陽光発電の使用期間は20年以上を想定しているが、古い建物も多い。それに防水層の修繕工事の時期を踏まえる必要があるうえ、太陽光パネルの設置量も考慮しなければならない」としつつ、「まずは共同研究を進め、他の団地でも実施できる仕組みの確立や事業性を検討したい」と語った。

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