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沖電、系統用蓄電設備で小規模電力網構築

来間島内に設置されたマイクログリッド運用設備

沖縄電力は、宮古島市内の来間島で系統用蓄電設備を活用した小規模電力網(マイクログリッド)を構築、宮古島本島と結ぶ主要電力系統から独立して運用する実証実験を2022年1月25日に開始した。マイクログリッドで災害時の停電時間の短縮や再生可能エネルギー電力の地産地消による燃料運搬費の低減に繋げる構えだ。

マイクログリッドは、戸建住宅や店舗などに設置した太陽光発電設備や蓄電設備などと系統用蓄電設備を効率的に運用し、島内の電力需要を賄うもの。

平常時は宮古島市と来間島を繋ぐ主要系統に流れる電力が極力0kWhになるよう系統用蓄電設備をEMS(エネルギー管理システム)で制御し、非常時は主要系統と切り離して系統用蓄電設備を自立運転させ、来間島内の発電設備の電力だけで電力需要を賄う。

島内の世帯数は96世帯、人口は165人で、マイクログリッド構築エリアの電力需要は出力50~150kW程度だ。同社によれば、太陽光発電設備と蓄電設備などで需給調整を行えば、シミュレーション上は実証エリア内の使用電力量すべてを賄えるという。

実証実験にあたり、同社は、蓄電容量800kWhの系統用蓄電設備のほか、住宅や店舗に出力5.5‌kWの太陽光発電設備と蓄電容量5.6‌kWhの蓄電設備、住宅用ヒートポンプ給湯器をそれぞれ44台ずつ設置し、既設の出力380kWの太陽光発電設備も使う。経済産業省の補助事業に採択され、総事業費約4億3000万円のうち3分の2は補助金を活用した。

宮古島市と沖縄県内の企業で事業を行っており、宮古島未来エネルギーがPPA(電力売買契約)モデルで個々の太陽光発電設備や蓄電設備などを設置し、ネクステムズが個々の電力消費者側の需給調整を行う。沖縄電力研究開発部の島袋正道氏は、「系統全体の需給バランスを整えることに加え、停電などの不具合が起きたときに対応できるかを検証する。停電時の早期復旧、再エネの主力電源化に向かうなかで同事業に参画する意義は大きい」と語る。実証実験は5年間行う。

系統用蓄電設備は出力400kW、蓄電容量800kWhのテスラ製を採用した

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