HIS、ローソン店舗内でペロブスカイト太陽光電池の実証開始
旅行大手のHIS(エイチ・アイ・エス)は2024年12月16日、コンビニ大手のローソンとペロブスカイト太陽電池の実証試験を始めた。最新の太陽電池技術を店舗運営に活かすため、実証試験を通して実用性を検証していく。
HISは、実証試験を始めるにあたり、ポーランドのベンチャー企業、サウレ・テクノロジーズのフィルム型ペロブスカイト太陽電池を採用した。ペロブスカイト太陽電池は室内照明でも発電する特性があるほか、HISはサウレに出資し、日本とアジアにおけるサウレ製品の独占販売権を保有しているからだ。
実証実験では、店舗内の電子機器にペロブスカイト太陽電池を設置して発電性能や耐久性を検証する。まず、電子棚札の電源にフィルム型ペロブスカイト太陽電池を採用し、室内光で発電した電力で商品情報や価格を遠隔操作で書き換えられるにようにする。さらに、店内の紙製広告の代替になるタブレットの電源や室内壁面に置くディスプレイの電力源にペロブスカイト太陽電池を活用する。電子棚札は18台、タブレットとディスプレイはそれぞれ3台ずつ導入する。
電子棚札とタブレットに活用するペロブスカイト太陽電池の出力はいずれも、照度500ルクスの環境下で1cm2あたり25μW。ディスプレイ搭載型のペロブスカイト太陽電池の出力は1000ルクスの環境下で60mWだ。
HIS会長室の戒能雅紀室長補佐は、「サウレの製品は欧州で実証済みだが、日本でも検証する必要があった。コンビニの室内に使えることが確認できれば、新たな用途開発の創出になるはずだ」と語る。
試験場所は東京都豊島区内のローソン北大塚一丁目店、『グリーンローソン』。
実証の様子。左から室内壁面に設置したペロブスカイト太陽電池と電子棚札