中国のシリコン工場が相次ぎ 被災パネル価格上昇か

2020.10.01

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 中国で太陽電池原料である多結晶シリコンの工場が相次ぎ被災した。原料の需給が逼迫し、太陽光パネルの価格が一時的に上昇するかもしれない。(本誌・平沢元嗣)

 2020年7月19日、多結晶シリコン世界大手、中・GCLポリ・エナジー・ホールディングスが新疆ウイグル自治区に建てた多結晶シリコン工場が爆発した。多結晶シリコンの純度を高める蒸留装置のトラブルが原因とみられる。被災した工場は18年の稼働後GCLの主力工場として操業、同社が持つ全工場の総年産能力8.5万tのうち約8割の生産力を有していたという。
 ただ、関係者は、「爆発事故によって製造に多少の遅れが生じたものの、生産ラインが完全に停止したわけではない。生産は続けており、9月上旬には平常運転に戻っている」と話す。
 GCLの事故による影響は限定的とみられるが、同様の事故が同時期に他の工場でも発生していたのだ。
 7月1日、新疆ウイグル自治区にある中・ダコ・ニュー・エナジーの多結晶シリコン工場で火災が発生した。同社は事故の詳細を明かしていないが、8月18日の決算説明では、年間生産量は当初の予定どおり7.3万〜7.5万tを維持できるとし、火災事故の影響は年内に収束するとの見通しを示した。
 いずれの工場も、設備点検の際に事故が起きたようで、先の関係者は、「コロナ禍で必要な人材を集められなかったのかもしれない」と推測する。
 一方で、災害に見舞われた工場もあった。中・トンウェイ・ソーラーは、豪雨災害による洪水の影響で、8月17日に四川省にある多結晶シリコン工場の操業を停止するよう地方政府から指示されたという。生産設備に被害はなかったようだが、一時的に生産できなかったようだ。

シリコン価格が上昇

 こうした事故や災害の影響で、多結晶シリコンの生産量が落ち、需給が逼迫したのだろう。多結晶シリコンの価格が上昇している。PVインサイトによれば、6月時点で1㎏あたり6.41米ドル(705円)だった多結晶シリコンの平均価格が、8月には9.89米ドル(1088円)、9月半ばには同10.84ドル(1192円)まで上昇した。
 多結晶シリコンの価格が上がれば、シリコンインゴットやウエハから太陽電池セルや太陽光パネルまで、製造原価は上昇してしまう。そしてメーカーが自助努力で吸収できなければ、顧客に値上げを要請せざるを得なくなるはずだ。事実、ある太陽光パネル中国大手の日本法人の社長は、「9月に入り、太陽光パネルの卸値をWあたり2〜3円値上げした」と打ち明ける。
 海外製品を扱うある商社の社長は、「中国の太陽光パネルメーカーが、契約の締結寸前になって急にWあたり3円の値上げを要求してきた」と近況を語る。
 多結晶シリコンの価格上昇がいつまで続くのか。「年内には収まるだろう」との声もあれば、「21年まで尾を引く」と見る向きもある。予断を許さない状況だ。

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