O&M費大幅削減へ afterFITのIT戦略

スマホで報告書の作成まで完結

同社もかつては紙の確認用紙で点検し、パソコンで入力し直したうえで別途撮影した写真を取り込んで報告書を作成していたが、もともと高品質なO&Mを掲げる同社の点検項目は極めて多く、それこそ高圧太陽光発電所の点検でさえ、2人1組で行えば数日を要するほどだ。現場作業の後にレポート作成の時間を確保することや、ミスをしないようにチェックする負担も大きかった。

点検業務においてはスケジュール管理や結果管理にとどまらず、発電所の設備や様々な情報を取り込み、過去の点検結果の比較や不具合の履歴などから、発電所の状態を管理、推定。これらをスマートフォン1台で対応できるようシステム化した。発電所は携帯電話が圏外のような場所に作られることが多いなかで、写真撮影や登録、管理はオフライン対応も可能とするなど、実際の実務に即したものは外部のシステムでは対応できないことから自社で構築した。登録している内容はオフィスと現場で確認できるので、異常があった場合はオフィス側から現地に確認指示を出すことも可能だ。また、現場でスマホに入力した点検の結果や撮影した写真は、自動で報告書の形に出力されるようにして省力化を図っている。

現地でスマートフォンに入力した点検結果や撮影した画像がそのままレポートとして出力されるようにしている。全体のレイアウト図や配線図もスマートフォンから確認できる

一方で、点検の質を落とさずに価格を低減するという観点から、O&Mメニューにドローン(無人航空機)による点検を標準搭載している。谷本代表は、「もともと3D設計を得意とする当社では、測量でドローンを使っており、早いタイミングからドローンによる業務効率化には着目してきました」と話す。

同社は、赤外線カメラだけでなく可視光カメラも搭載したドローンで発電所全体を撮影し、その映像を比較・分析することで、異常の有無を発見する。データを蓄積すれば、経年劣化の程度まで分かるようになるという。