定置用蓄電池

減速続くも拡大基調へ

競争激化の住宅用蓄電設備

コロナ禍の影響で伸び悩む住宅用蓄電設備市場。だが、非常用の需要は底堅く、脱炭素政策の後押しが加われば再び急拡大する可能性もある。一方で海外勢の参入が相次ぎ、競争が激化しそうだ。

2020年度の住宅用蓄電設備の出荷台数は、前年度比約10%増の13万台程で着地する見通しだが、「前年度より減るのではないか」と洩らすメーカー担当者もいる。いずれにせよ、2年連続年率50%増の急成長を遂げ、年度始めには15万台規模になると期待されていたことを思えば、厳しい1年だったことに間違いない。

市場が伸び悩んだ主因は、コロナ禍の影響で販売会社の営業が停滞したためと言われているが、とくに既築住宅向けで影響が大きかったようだ。訪問販売会社向けに販売実績を伸ばす伊藤忠商事電池ビジネス課の佐藤隆課長補佐が、「緊急事態宣言が発令された4月上旬から1ヵ月間は極端に受注が減った」と振り返れば、京セラのエネルギー事業開発部の戸成秀道ビジネスソリューション1部責任者も、「既築住宅向けは対面でなければ提案しづらく、厳しい状況だ」と話す。

一方の新築住宅向けはどうか。ハウスメーカーに卸売りするエリーパワーの小田佳常務執行役員は、「リードタイムが長く、出荷時期が分散されるため、いまのところ目に見えて影響が出ているということはない」としつつも、「コロナ禍で収入面に不安を覚え、戸建住宅のオプション品である蓄電設備の設置を見送るケースが出ているかもしれない」と不安視する。

メーカーの動向を見ても、主力メーカーのほとんどが前年度比1〜2割減、よくて前年度並みと苦戦している。だが、唯一田淵電機だけが設備販売において前年度比4倍強の約3万台を見込み、首位のオムロンに並ぶ勢いだ。

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