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パネル税、市議会で可決 市と事業者の溝埋まらず

埋まらない溝

しかし、発電事業者と市の見解は、いまだに平行線が続いている。

ある事業者が、「すでに固定資産税を払っているため、パネル税は二重課税となる。再生可能エネルギーの導入を推進するという国策に逆行する」と批判すれば、市長は「資産ではなく面積に応じて課税するパネル税は二重課税には当たらない。再エネは地域との調和を図って促進されるべきであり、パネル税は調和を図るためのものだから国の政策と逆行しない」と反論する。

一方、パネル税が導入されると、年間の課税額が9000万円に及ぶメガソーラー事業を運営するパシフィコ・エナジーの水田洋一郎アセットマネジメント部門長はこう主張する。

「我々は、市と事前に協定を結び、県から林地開発許可や県土保全条例の開発許可も得て開発した。さらに地元の要望を受け入れて、追加で約20億円かけて調整池を21ヵ所設け、容量を県基準の1.8倍まで確保した。河川の氾濫は以前より起こり難くなったはずだ。安全対策を実施しているにもかかわらず、パネル税を徴収するのは道理に合わない」。

確かに、太陽光発電所が建設されたことで河川の氾濫が起こりやすくなり、対策費用として税を徴収するというのであれば、そもそも市は協定を結ぶべきではないはずだ。仮に協定締結後に太陽光発電所による環境影響が発覚したため、税を徴収することになったというのであれば、具体的な根拠を示さなければならないはずだが、市長はこう見解を述べている。

「事業者は下流域までの影響を考慮していないので、市として対策を講じる必要がある。環境へ負荷を与えていないというのであれば、与えていないという科学的根拠を事業者側が示すべきである」。

この市長の見解に対してパシフィコエナジーの松尾大樹社長はさらに、「県による林地開発と県土保全条例開発許可審査で、市の下流域面積を優に超える面積の下流域への影響調査を行い、我々の事業が下流域に負荷を与えないことは技術的・法的に証明済みで、市も関連資料を保管しているはずだ。それでも影響を与えていると市がいうのであれば、その科学的根拠を市が示すべきだ」と断言する。

パシフィコ・エナジーはメガソーラー開発時に追加で約20億円かけて調整池を21ヵ所設け、容量を県基準の1.8倍まで確保した

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