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パネル税、市議会で可決 市と事業者の溝埋まらず

判断は総務大臣に

ともあれ、パネル税は市議会で可決された。導入如何の判断は総務大臣に委ねられた形であるが、総務大臣は、「(パネル税が)国税または他の地方税と課税標準を同じくし、かつ住民の負担が著しく過重となる」などに該当しなければ、市議会の決議に同意しなければならない。つまり、パネル税が、パネルという資産に対する課税ではなく、面積への課税ゆえ課税標準が異なると判断されるか、面積への課税とはいえ実質的には資産への課税と同一であると見做されるか、あるいは、発電事業者への負担が著しく過重と判断されるか否か、が焦点となる。

ベーカー&マッケンジー法律事務所の江口直明弁護士は、「パネル税がパネルの面積に対する課税といってもパネルそのものの資産に課される税であるのは明白だ。また、FITを活用する発電事業は、固定された売電収入しかなく、通常の事業のように追加費用を転嫁して影響を緩和できない特殊な制度の基に成り立っている事業ゆえ、事後的にパネル税が課されれば、事業採算性は低下する。事業者にとっては著しい過重と言える」と指摘したうえでこう続けた。

「地方自治体の定めた条例が地方税法に反して違法・無効と判断された最高裁判例や、総務省の同意があっても違法・無効と判断した最高裁判例もある。司法判断の機会も充分残されているため、最終決着まで様々な議論があり得る」。

パネル税は前例がない。施行されれば、全国へ波及し、再エネ普及を阻害する恐れもある。国の適切な判断が待たれる。

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