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JEPX価格20倍超 急騰に悲鳴続々

新電力月数十億円の逆ザヤ

電力調達の見直しへ

ともあれ、対策は急務だ。ある新電力会社の幹部は「とにかくいまは耐えるしかない」と唇を噛みしめたが、もし長期化した場合、資金力の乏しい中小の新電力会社は事業撤退や倒産に追い込まれる。経産省は1月15日、JEPX価格と連動するインバランス料金等単価の上限を1kWhあたり200円にする特例措置を講じ、1月17日の電力供給分より適用したが、それでも200円だ。新電力会社の経営状況が苦しいことに変わりはない。

村谷社長は、緊急対策として、「JEPXからの調達量を少しでも減らすために、製造業などの顧客を抱える新電力会社は、顧客にお願いして自家発電設備やコジェネレーション(熱電併給)設備を動かしてもらい、一時的にでも供給量を減らすことが肝要だ」という。

そのうえで調達先の見直しを進めるべきだろう。出光グリーンパワーの板坂太一営業部長は、「我々にも影響はあるが、こうした事態に備えて相対取引による調達量を増やすなど、JEPXから調達する割合を減らしていた」という。スマートテックの今泉嘉之執行役員も、「非常に厳しい状況だが、太陽光発電の余剰電力を集めている分、僅かながらでも影響を回避できている。不幸中の幸いだ」と話す。つまり、発電事業者からの直接調達や太陽光発電の余剰電力買取りなど、JEPX以外からの電力調達量を増やすほかないのである。

今回の事態を経て、再エネ企業は、太陽光電力を求める新電力会社から調達や発電所の共同開発の依頼を受ける可能性もある。再エネ企業が日本の電力市場に貢献できる契機となるかもしれない。

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