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低圧太陽光の事故報告 4月から義務化

2021年4月から低圧太陽光発電の事業者に設備の事故報告が義務づけられる。違反した事業者には罰則が科される可能性もある。(本誌・平沢元嗣)

大型台風で倒壊した低圧太陽光発電所

電気事業法第106条の規定に基づく電気関係報告規則が2021年4月1日に改正され、出力10‌kW以上50‌kW未満の低圧太陽光発電設備の事業者にも事故時の報告義務が課されることになった。全量売電用に限らず、自家消費用の太陽光発電設備にも適用され、10‌kW以上であれば、住宅用太陽光発電設備も対象となる。

これにより、対象の事業者は4月1日以降、事故発覚後24時間以内に事故の日時と場所、状況を、30日以内に事故に遭った発電設備の仕様や事故の原因を、それぞれ産業保安監督部に報告しなければならない。

報告義務の対象となる事故は大きく次の4つだ。①感電により人が死亡あるいは入院した場合、②火災が発生した場合、③太陽光パネルや架台が破損し、他者へ損傷を与えた場合、④設備の破損により運転が停止した場合、である。

このうち③は、敷地外に太陽光パネルが飛散したり、敷地内の土砂崩れによって土砂が流出したりする事故を指す。②も含め、パネルや土砂が太陽光発電所の外へ出なかったとしても、設備の損傷範囲が20%を超えると報告義務の対象になる。事故が発生していたにもかかわらず、報告を怠ったり、虚偽の報告をしたりした事業者は、30万円以下の罰金に処される可能性がある。

経済産業省産業保安グループ電力安全課の担当者は、「事故に気づかず、報告が遅れた事業者には理由を訊ね、妥当であれば問題はないが、そうでなければ改善を求める」と話す。

遠隔監視装置があれば事故に気づきやすいが、導入していない事業者が多い。監視装置の未設置が事故報告遅延の理由として妥当と判断されるかは不明だ。いずれにせよ、監視装置は導入するべきだろう。このほか、事故の詳細を報告するためにも完成図書が必要だ。手元にないのであれば、施工業者に問い合わせよう。

O&M(管理・保守)を手掛ける野原ホールディングス事業開発部再生可能エネルギープロジェクトの増田幹弘室長は、「施工業者がすでに倒産している場合は厄介だ。たとえば、新たに単線結線図を作成しなければならないとすれば、費用が嵩む」と指摘する。事業者は台風シーズンが訪れる前に準備しておこう。

ともあれ、今回の制度変更はO&M業者にとって商機となるだろう。事業者は、事故発生時の駆けつけ対応や詳細報告についてO&M業者との連携が欠かせなくなるからだ。

FITの開始以降、爆発的に増えた太陽光発電所は20年9月末時点で65万件に達し、うち61.9万件以上は10‌kW以上50‌kW未満の低圧太陽光発電所だ。近年大型台風が頻発するなか、設備の倒壊事故が取り沙汰されていたが、事業者に報告義務がないために経産省は実態を把握し切れていなかった。事故報告の対象に低圧太陽光発電設備を加えたことで、経産省はこうした課題の解決に繋げたい考えだ。今回の制度変更では20‌kW未満の風力発電設備の事業者にも事故報告を義務づける。

また、経産省は4月1日から太陽光発電設備の技術基準を定める省令を施行する。従来は設備が備えるべき性能を『電気設備の技術基準の解釈』で規定していたが、「設備の設置場所が屋根上から傾斜地や水上まで広がったため、省令で定めることとした」(電安課担当者)。

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