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SBエナジー、自己託送支援でエコスタイルと提携

ソフトバンクグループの再生可能エネルギー会社、SBエナジーが太陽光発電所を建設するエコスタイルと提携した。一般の企業に自己託送を支援するサービスを始める。(本誌・岡田浩一)

2012年に稼働したSBエナジーが運営するメガソーラー。今後は自己託送支援を展開し、非FIT再エネ発電所の開発を進めていく

再生可能エネルギーの発電事業を推進するSBエナジー(三輪茂基社長)は2021年3月1日、太陽光発電所のEPC(設計・調達・建設)や電力小売りを手掛けるエコスタイル(木下公貴社長)と提携した。両社は太陽光発電の自己託送支援サービスを展開していく。

SBエナジーは、FITを活用せずに地上設置型太陽光発電所を開発し、再エネ電力を使用したい企業へ貸出す。その際、企業が自己託送制度を活用して環境価値つきの再エネ電力を自家消費できるよう支援するため、一部業務をエコスタイルに委託する。

自己託送では、翌日の発電所の逆潮流量を予測して計画値をOCCTO(電力広域的運営推進機関)へ提出し、計画値と同量の電力を供給しなければならない。この同時同量を実践するためには、発電量予測の専門技術が求められる。

エコスタイルはこれまで、低圧太陽光発電所を建設しつつ、電力小売りを展開し、需給管理や発電量予測の技術を磨いてきた。そこで今回のスキームでは、EPCやO&M(保守・管理)から発電量予測やOCCTOへの発電計画の申請まで請け負う。

SBエナジーは、太陽光発電所を所有し、顧客に貸し出す手法を提案する構えだが、企業と共同出資で太陽光発電所を保有する特別目的会社を設立する形も想定している。

SBエナジーは、企業とPPA(電力売買契約)ではなく、賃貸契約を結び、毎月サービス料を徴収する。料金は定額ではなく発電量に応じて決定する方向。契約期間などは未定だが、長くても20年以内にする考えだ。

同事業に着手した経緯について、SBエナジー電力事業本部の梶村功副本部長は、「これまでFITによる売電事業を中心に進めてきたが、新たなビジネスモデルを構築する時期にきており、19年頃から検討してきた」とし、エコスタイルと提携した理由について「EPCとしての実績が豊富なうえ、発電予測の技術やノウハウがあった」と話す。

エコスタイルの木下公貴社長は、「当社では、複数の気象予報士を抱え、長らく太陽光発電所の発電量予測の精度を高めてきた。このノウハウを活かして非FITの事業モデルを築いていく。ポテンシャルは想像以上に大きい」と話す。

両社は、全国を対象にまずは東京電力管内から21年度内にサービスを始める計画だ。主に高圧太陽光発電所を中心に開発していくが、低圧太陽光発電所を束ねて企業へ貸し出すことも検討している。

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