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リコー、30年度再エネ比率50%に 再エネ調達の評価制度導入

リコーが事業用電力に占める再生可能エネルギー使用率の2030年度目標を30%から50%に引き上げた。再エネ調達の評価制度を導入し、目標達成の前倒しを図る。(本誌・楓崇志)

英国拠点では太陽光パネル搭載カーポートを導入

リコー(山下良則社長)は2017年4月、再エネ電力100%での事業運営を目指す『RE100』に日本企業で初めて参加。再エネ比率の目標として、30年度までに30%、50年度までに100%の達成を掲げた。19年度時点で再エネ比率を12.9%まで高めたが、21年3月2日に30年度時の目標値を50%に引き上げると発表、22年度までに30%の達成を目指すことを決めた。21年3月に発表した新たな中期経営計画にもESG(環境・社会・企業統治)目標の一つとして22年度や25年度における使用電力の再エネ比率目標を加えた。

同社サステナビリティ推進本部社会環境室の阿部哲嗣室長は、「世界的な脱炭素化への潮流を受け、新中期経営計画におけるESG目標に従来の目標値を前倒ししたうえで再エネ比率を追加した。達成は容易ではないが挑戦していく」と語る。

目標達成に向け、海外では30年度までに主要拠点の再エネ比率を100%に引き上げる。国内では比率向上のため、再エネ電力の調達における独自の総合評価制度を導入する。

評価制度では、同社グループが目指すべき社会として定義する『持続可能な経済』、『持続可能な社会』、『持続可能な地球環境』の3点を軸に、価格のほか、電源の追加性や電源種ごとの環境負荷、需要地との近接性、電源構成、小売電気事業者や発電事業者のCDP気候変動スコア、地元出資比率、地元貢献度を評価項目に設定。再エネ電力プランを提案する小売電気事業者ごとに、価格100点、それ以外の技術評価100点の合計200点満点で評価する。

阿部室長は、「再エネ電力調達のコンペを開くうえで評価基準を明確化する必要があった。再エネ電力の普及にも繋がれば」と話す。

同社は再エネ電力を調達する国内拠点で評価制度を使って事業者を選定する。まずは東京都大田区の本社事業所で使用する電力を21年度から100%再エネ化する予定で、すでに評価制度を活用し、みんな電力を選定した。

再エネ電力を求める企業は多いが、単に再エネを安く調達できればよいというわけではないだろう。社会的受容性など、考慮すべき点は他にもあるはずだ。リコーのように独自の評価基準を設ける動きが今後活発化するかもしれない。

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