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ウエスト、非FITモデルで電力会社と相次ぎ提携

太陽光発電所建設の国内大手、ウエストホールディングスが、電力会社と相次ぎ提携した。長期に亘って非FITの再エネ電力を供給していく構えだ。(本誌・川副暁優)

全量売電用の低圧太陽光発電所の開発が再燃するかもしれない

ウエストは2021年3月15日にJFEエンジニアリング傘下の地域新電力会社、福山未来エナジーと再生可能エネルギー電力の供給契約を交わすと、3月25日には中国電力とPPA(電力売買契約)モデルも含めた業務提携を締結。4月12日には東京電力エナジーパートナーと再エネ電力の長期供給契約を結んだ。

ウエストは、全国の再エネ会社と提携してFITを活用しない低圧太陽光発電所を開発している。今回提携した3社には、その太陽光発電所が生み出す再エネ電力と環境価値を長期に亘って卸販売していく。

また、ウエストは自社負担で太陽光発電設備を工場や倉庫に設置し、発電した再エネ電力を企業に供給するオンサイトPPAを展開しており、中国電力とはオンサイトPPAでも協業する。ウエストが太陽光発電設備のEPC(設計・調達・建設)やO&M(管理・保守)を担い、中国電力は法人客に提案していく狙いだ。

20年秋の菅義偉首相によるカーボンニュートラル(人為的な温室効果ガス排出量実質ゼロ)宣言を機に、気候変動対策として脱炭素社会を目指す動きが活発だ。投資家はESG(環境・社会・企業統治)に配慮した企業に投資し、企業は事業用電力の100%再エネ化を掲げる企業連合、『RE100』に加盟して再エネの調達に本腰を入れ、再エネの需要が急速に拡大した。ただ、再エネ発電所の多くはFITを活用した全量売電用の太陽光発電所である。企業のRE100実現に寄与する非FITの発電設備は限定的だ。

そこでウエストは、大阪ガスと提携し、非FITで開発した太陽光発電所で発電した環境価値つきの再エネ電力を25年に亘って全量買取る〝民間FIT〟のモデルを構築。20年5月にはウエストホールディングス100%子会社のウエストグリーンパワーを設立し、地域の再エネ会社とともに各地で低圧太陽光発電所の開発を推進してきた。

23年までにウエストは一連の事業で太陽光発電所を1GWまで増やしたい考えだ。

ウエストグリーンパワーの中村公俊社長は、「非FITモデルで太陽光発電所の開発を進めていくのは決して容易ではないが、再エネの需要が急速に高まっている。様々なスキームの検討も含めて供給体制を整えていく」と語る。

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