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三井不動産、テナント向けに環境価値付き再エネ電力を供給へ

東電EPと提携、卒FIT太陽光も活用

2021年4月からサービス開始予定の東京ミッドタウン日比谷

三井不動産(菰田正信社長)は2020年12月21日、東京電力エナジーパートナー(秋本展秀社長)と提携し、保有・転貸するオフィスビルのテナント向けに環境価値付きの再生可能エネルギー電力を供給すると発表した。30年度に約6億kWhの供給を目指す。

両社は、同日付でオフィスビルなどにおける『使用電力のグリーン化に関する包括協定』を締結した。三井不動産と東電EPが電力受給契約を交わしているオフィスビルや商業施設などを対象に、テナント専用部や共用部に環境価値付き再エネ電力を供給する。期間は21年度から30年度までの10年間で更新可能とした。30年度に約6億kWhの再エネ電力の供給を計画している。

近年、オフィスビルなどでも環境価値付き再エネ電力に対する需要が高まっているが、必ずしも再エネ電力を求める企業だけが集まるわけではないため、それぞれのニーズに応じ、柔軟に電力を選択できるような仕組みが求められていた。今回のサービスでは、環境価値の有無のほか、再エネ電力の比率を自由に選べるため、目標に合わせて段階的に増やすことができるという。

環境価値は、〝卒FIT〟の住宅用太陽光発電由来の非化石証書などを活用するうえ、『RE100』などに適合できるようトラッキング付きで供給する。三井不動産ビルディング本部環境・エネルギー事業部事業グループの下郡稔裕統括は、「再エネ電力の需要は20年夏頃から急激に高まったが、そのなかでも長期安定的に再エネ電力を調達したいという要望が多い。卒FIT太陽光を活用するのは、相対契約で安定的に確保できるからでもある」と話す。

三井不動産は20年2月にRE100に加盟したほか、12月21日にはグループ全体の温室効果ガス排出量削減の中長期目標を公表し、30年度までに19年度比で30%削減、50年までにネットゼロを目指す方針を明らかにしている。環境価値付き再エネ電力を共用部に使用することで、自社の目標達成にも繋げたい狙いだ。

今回、再エネ電力の供給先候補となる建物は100棟以上に及ぶ。まずは21年4月から東京ミッドタウン日比谷などでサービスを開始する予定だ。ただし、東電EPと電力需給契約を交わしていることが条件のため、首都圏を中心とした東電管内の建物が対象だ。対象外の地域にある建物については、「今後検討していきたい」(下郡統括)とした。

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