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日本ベネックス、自家消費用太陽光を増設

本社工場の屋根に増設したパネル。社名を形どって配置した

太陽光発電所のEPC(設計・調達・建設)を手掛ける日本ベネックス(長崎県諫早市、小林洋平社長)は本社工場の自家消費用太陽光発電設備を増設、8月末に稼働させた。太陽光パネルの設置容量は約1.6倍の712kWに増加、本社工場における年間消費電力量の約3割を賄える見通しだという。自家消費提案にも活かす方針だ。

同社は主に精密板金加工を営む本社工場を再生可能エネルギー関連の実証試験施設としても活用している。FIT売電用の太陽光発電設備のほか、2016年にはパネル出力276kWの自家消費用太陽光発電設備を設置。18年には住友商事らの協力のもと、蓄電容量400kWhのリユース蓄電設備やEV(電気自動車)を追加導入した。

小林洋平社長は、「耐荷重の問題でパネルを載せられなかった屋根があったが、今回補修する機会があり、追加設置が可能になった」としたうえで、「自家消費用太陽光は経済性が高まっており、工場の電気代削減につながる。今後EPCとしての提案を強めるためにも増設を決めた」と明かす。

同社は436kWの太陽光パネルを追加設置し、自家消費用の合計パネル設置容量は712kWとなった。パネルは中JAソーラー製と韓ハンファQセルズ製の単結晶タイプ、PCS(パワーコンディショナ)は新電元工業製の12.3kW機を採用した。

逆潮流を発生させない完全自家消費用の設備で、自家消費できなかった余剰電力はリユース蓄電設備にためる。だが、蓄電設備は増設しておらず、蓄電できずに逆潮流が発生する場合にはRPR(逆電力継電器)が働き、発電が停止する。そこで発電量の最大化を目指し、消費電力の変動に合わせた出力制御を行うべく、同社は新電元製PCSの制御機能とラプラス・システム製出力制御装置を組み合わせた制御システムを導入した。

小林社長は、「工場内では消費電力の変動が激しく、現在設置済みの蓄電設備だけでは余剰電力をためきれない。全て太陽光発電で賄える時間帯もあるが、年平均では15%程度の制御量を見込んでいる」としつつも、「工場の年間電力消費量の3割程度を賄える。増設分の投資回収期間も7~8年だ」と語る。

同社は今年5月頃から増設工事を開始、8月26日に稼働させた。太陽光電力の環境価値については、グリーン電力証書の発行を通じて売却する予定だ。

新電元工業製のPCS

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