21年度のFIT入札、年4回開催へ

2021.02.01

PVeye

 2021年度のFITにおける入札制の詳細が固まった。上限単価を事前に公表し、年4回実施する。(本誌・楓崇志)

 2021年1月12日、第66回調達価格等算定委員会が開かれ、21年度の入札制や売電単価などに関する議論が行われた。事業用太陽光発電の入札制については、直近4回の入札でいずれも応札容量が募集容量を下回っており、活性化に向けた見直し案を検討した。
 これまでの算定委で、対象範囲を20年度と同じ250kW以上に据え置き、現在事前非公表である上限単価を事前公表し、1回あたりの募集容量を減らしたうえで入札回数を増やす方針が決まっていたが、それらを含め、次の5点を見直す方向で意見がまとまった。
 ①価格予見性を高めるため、上限単価を事前に公表する。②参加機会を増やすため、年間の入札実施回数をこれまでの2回から4回に変更する。③投資判断をしやすくするため、入札参加資格の初期審査を簡素化し、審査期間を3ヵ月から2週間程度に短縮する。④落札後の電力会社との接続契約を含む認定取得期限を入札結果の公表後7ヵ月とする。⑤落札後に工事費負担金が当初提示された額より上振れし、事業を中止した場合、入札保証金の没収を免除する。
 募集容量については、直近の入札で提出された事業計画の合計出力を基準とする。19年度と20年度入札における年間平均の計画容量が831MWだったことから、21年度の初回入札の募集容量は4分の1である208MWとする方向だ。
 2回目以降の募集容量は、初回入札の結果を踏まえて見直す。応札容量が募集容量を上回った場合、非落札となった応札容量の4割を次回入札の募集容量に上乗せする。逆に応札容量が募集容量を下回った場合、その応札容量を次回の募集容量とする。ただし、208MWが下限。つまり、年21度入札の合計募集容量は832MW以上となる。
 事前に公表する上限単価については、入札対象外となる21年度と22年度の事業用太陽光発電の売電単価を踏まえて決める。具体的には、初回入札は21年度の売電単価と同じにし、2回目以降は21年度と22年度の売電単価の差額を4等分し、等分した単価を段階的に下げていく。たとえば、21年度の売電単価が11円、22年度が10円だった場合、21年度入札の上限単価は初回が11円で、以降0.25円ずつ下がり、2回目が10.75円、3回目が10.5円、4回目が10.25円となる。22年度以降の取り扱いについては年度の結果をもとに検討する。
 21年度の入札実施のスケジュール案も提示されており、それぞれの事業計画の受付締切日は初回が5月7日、2回目が7月16日、3回目が10月15日、4回目が年1月21日を予定している。

20年下期入札 83件60MWが落札

 算定委の開催に先立つ20年12月25日には通算7回目となる20年度下期入札の結果が公表された。募集容量750MWに対し落札量は83件69.4MWだった。
 入札参加資格の審査のために提出された事業計画数は114件134.5MW。そのうち入札参加資格を得たのが101件89.25MWで、応札数は92件78.65MWだった。
 事前非公表だった上限単価は11.5円で、最低落札単価が10.48円、最高落札単価が11.5円、平均落札単価は11.2円だった。前回の上期入札と比べて、参加数や応札数も少なく、2MW以上の案件は1件もなかった。
 17年度に入札制が始まってから応札容量が募集容量を超えたのは18年度下期入札の1回だけ。ただその1回も、その前の回である18年度上期入札で落札者がゼロだった点が少なからず影響しているはずだ。
 もともとの狙いであるコスト低減に関しては、平均入札単価と平均落札単価の両方とも回を追うごとに引き下がっていることから、一定の効果を生み出せているように見える。今回の見直しによって、参加者を増やし、競争によるコスト低減を加速させることができるのか。
 22年4月からは50kW以上を対象にFIP(フィード・イン・プレミアム制度)が導入される。1MW以上はFIPに限定したうえで入札制も同時に適用される見通しだ。一方でFITとの選択制となりそうな1MW未満は、FIPでは入札対象外だが、FITでは一部が入札対象となる。範囲は現行制度と同じ250以上が維持されるかどうか決まっていない。
 いずれにしても、FIP以降も入札制の果たす役割は大きい。売電目的の発電事業だけでなく、自家消費目的で設置しても、余剰電力を売電したい場合に入札への参加を迫られる可能性もある。その意味からも参加しやすい制度設計を施す必要はあるだろう。

50kW未満の低圧余剰はプラス1円に

 なお今回の算定委では、20年度から地域活用電源に位置付けられ、余剰売電に限定された10㎾以上50㎾未満の事業用太陽光発電に関する議論も行われた。
 10㎾以上50㎾未満の事業用太陽光発電では、入札対象外となる50㎾以上250㎾未満の事業用太陽光発電の売電単価(FIPでは基準価格)と同様に、21年度と22年度の向こう2年分を決める。
 単価の設定については、パワーコンディショナの自立運転機能の搭載や非常用コンセントなど設置義務があることなどから、20年度と同様、50㎾以上250㎾未満の事業用太陽光発電の単価にkWhあたり1円を加えるという案を示し、委員から概ね了承を得た。

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