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JEPX価格20倍超急騰に悲鳴続々新電力月数十億円の逆ザヤ

2021.02.01

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 日本卸電力取引所のスポット価格が急騰した。平時の実に20倍以上に跳ね上がり、新電力各社が悲鳴を上げている・1ヵ月で数十億円の逆ザヤが発生したところもあるようだ。(本誌・岡田浩一)

 想定外の事態だ――。
 ある電力関連会社の役員は戸惑いを隠せない。無理もない。JEPX(日本卸電力取引所)のスポット価格が平常時の実に20倍以上に高騰したのだ。
 JEPX価格は2020年末から徐々に価格が上昇し、年が明けると一気に急騰した。1kWhあたり6〜9円程のスポット価格が100円を突破し、ついには200円を超える。片や割高な低圧需要家向けの電力販売単価は円程度なのだから、JEPXから調達する新電力会社は逆ザヤが発生し、火の車状態だ。関係者の証言では、僅か1ヵ月間で30億円に及ぶ赤字を抱えた会社もあるという。
 事態は深刻で、新電力コンサル、アンプレナジーの元にも問い合わせが殺到、村谷敬社長は、「普段お付き合いのない会社も含めて100社以上から相談を受けている」と切迫した様子で状況を語る。
 では、なぜこのような事態が生じたのか。経済産業省資源エネルギー庁は、寒波による電力需要の急増と、天候不良による太陽光発電の発電量減少に、LNG(液化天然ガス)の在庫減による天然ガス火力発電の稼働抑制が同時に起きたためとしたが、果たしてそうか。
 確かに、20年12月から21年1月にかけて寒波が断続的に流れ込み、1日の平均気温が平年より5℃低い日もあった。そして21年1月前半の電力需要は前年同期比で1割近く増加した。寒波による電力需要の急増は一因であろう。ただ、1月7日に首都圏の緊急事態宣言が発令され、直後にJEPX価格がさらに上昇している。電力需要の増加には〝ステイホーム〞による影響も少なからず関係しているのではないだろうか。
 俄かに信じ難いのは、天候不良による太陽光発電の発電量減少がJEPX価格高騰の要因とする指摘だ。というのも、電力需要が急増した1月6日からの1週間、北海道・東北・北陸・中国の4電力管内では太陽光発電の平均発電量が前年より下回ったが、東京・中部・関西・四国・九州の5電力管内ではむしろ増加している。そもそも、昼間のJEPX価格が朝方や夕方に比べて低く抑えられているのは、太陽光発電があるためであろう。
 恐らく主因は、大手電力会社による火力発電の利用率の変更であろう。事実、200万t程あったLNGの在庫が一時は100万tを割り込んだ。そこで大手電力会社は天然ガス火力発電の調整機能に余力を持たせるため、天然ガス火力発電の利用を抑制し、石油火力発電などで代替したのだろう。ただ石油火力発電の発電コストは1kWhあたり30円以上と割高だ。それゆえ通常の設備利用率は10%程と低く設定してある。それを一時は90%近くまで上げたのだ。大手電力会社によるJEPXへの卸価格は上昇したはずである。その後LNGの在庫の目途が立ったようで1月6日には天然ガス火力発電の設備利用率は70%へ回復し、8日に90%まで上昇した。ただLNG価格はこの8ヵ月間で約18倍の26米ドル/MMBまで高騰しており、平常時より発電コストが上がっていた。だからこそいまだにJEPXの価格高騰が続いているのではないか。
 かねてより大手電力会社によるJEPX価格への支配力は強く、問題視されており、今回の一件では1月18日にループなどの新電力会社56社が経済産業大臣に需要曲線や予備力、燃料在庫状況など価格形成に関係する情報公開を求める要望を提出している。

電力調達の見直しへ

 ともあれ、対策は急務だ。ある新電力会社の幹部は「とにかくいまは耐えるしかない」と唇を噛みしめたが、もし長期化した場合、資金力の乏しい中小の新電力会社は事業撤退や倒産に追い込まれる。経産省は1月15日、JEPX価格と連動するインバランス料金等単価の上限を1kWhあたり200円にする特例措置を講じ、1月17日の電力供給分より適用したが、それでも200円だ。新電力会社の経営状況が苦しいことに変わりはない。
 村谷社長は、緊急対策として、「JEPXからの調達量を少しでも減らすために、製造業などの顧客を抱える新電力会社は、顧客にお願いして自家発電設備やコジェネレーション(熱電併給)設備を動かしてもらい、一時的にでも供給量を減らすことが肝要だ」という。
 そのうえで調達先の見直しを進めるべきだろう。出光グリーンパワーの板坂太一営業部長は、「我々にも影響はあるが、こうした事態に備えて相対取引による調達量を増やすなど、JEPXから調達する割合を減らしていた」という。スマートテックの今泉嘉之執行役員も、「非常に厳しい状況だが、太陽光発電の余剰電力を集めている分、僅かながらでも影響を回避できている。不幸中の幸いだ」と話す。つまり、発電事業者からの直接調達や太陽光発電の余剰電力買取りなど、JEPX以外からの電力調達量を増やすほかないのである。
 今回の事態を経て、再エネ企業は、太陽光電力を求める新電力会社から調達や発電所の共同開発の依頼を受ける可能性もある。再エネ企業が日本の電力市場に貢献できる契機となるかもしれない。

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